音の絵画 殉教者のための7つの習作
音でフランシス・ベイコンみたいな絵が描きたい、って思ったのがこのアルバムのきっかけ、とかいうと各所からお叱り受けそうだけれど、脳内に存在する世界みたいなものがあって、その中には自分の好きなものが詰まっていて、元の意味や形を変えて配置され、いつのまにか架空都市みたいに動いてるんだけれど、そういう頭の中の世界のいろんなシーンにフォーカスして、その風景を切り取ったり書き写したりする作業が、最近の音の作り方。
脳内世界の中にはもちろんベイコンの絵画も存在してて、一番衝撃を受けた(ビビビ、と)作品で "From Muybridge ‘The human Figure in Motion: Woman Emptying a Bowl of Water/Paralytic Child Walking on All Fours"っていう作品があって。
Francis Bacon - From Muybridge ‘The human Figure in Motion: Woman Emptying a Bowl of Water/Paralytic Child Walking on All Fours
この絵が音だったら、ってところからサウンドの発想を得て、じゃあ逆に、脳内の風景や事象を、音で、絵として描けばいいじゃん、って。
この脳内の世界では色んな暴力が渦巻いてて、それは『メリディアン』を出した時から明確にそうなんだけど、悪意と救済、って世界で、その中間がない。
今回の12ヶ月連続アルバムリリースも、その時その時の気分で浮かぶ頭の中の世界のイメージを音で吐き出してる。1枚目の『暴力街』から先月の『紅い喪服の女』まで一貫して暗くて重いのは、頭の中にある世界がそうだから。
明確なストーリーみたいなものはその都度あるんだけど、どれも短編の連なりというか。同じ街の色んな場所で起こる色々な物語があって、場所ごとの物語をアルバムにまとめている感じ。わかりやすく言うと『シン・シティ』とかああいう感じ。
今回は『殉教者のための7つの習作』って話で、7面体の中で7つの殉教を遂げる人の話。
今までの6枚のアルバムが映画やドラマや舞台やラジオとして作られたように、今回のアルバムは、その物語が「音の絵」としてリリースされるわけです。もしくは脳内の誰かがその様子を「音の絵」として切り取ったのかもね。
何言ってんだ、って思うだろうけど、そうとしか言いようがない。
先に書いたように、頭の中にある、名前もないこの世界では日々暴力が横行していて、人が嘆き悲しみ死んでいってる。その暴力に対して、抗って死んでいった人(達)の物語。
今月は、そういうアルバムです。
今回も斎藤潤一郎氏による書き下ろし『DKMV』(第六頁)封入です。
俺は滅多に他人の生み出した表現を尊敬とかしない。
故に、斎藤さんもベイコンも並列して自分の中で尊敬する芸術家だから、毎月こうやって斎藤さんとコラボできる(相変わらず一切事前の情報共有なし)のは、端的に言って、すごい幸せだなと。
そういえば斎藤さんもベイコン好きだったなと(「死都調布」にも教皇出てくるし)思い出しつつ、今回はこの辺で。
3月25日(木)リリース
『殉教者のための7つの習作』
以下プレスリリース
CRZKNYによるアルバムリリース第六弾は”殉教者を描いた絵画”としての音楽集。 斎藤潤一郎とのコラボ企画として12カ月連続でアルバムをリリース中のCRZKNYの第六弾は『殉教者のための7つの習作』と題された、”殉教者を描いた絵画”として製作された7つの楽曲集。 ある殉教者が死にゆく様を7面体の中で描いたこの作品は、CRZKNY曰く「陰鬱な世界の暴力に、命を賭して抗い殉教した者の叫びを、切りつけて配置し、上塗りし削り歪めて繰り返し描いた」とのこと。 また、今回のアルバムにおける音楽的側面としては、近年彼が手がけたサニーデイ・サービスとの共作やリミックスにおいて特に顕著であったミュージック・コンクレートとビートミュージックの融合実験をさらに推し進めた、唯一無二の世界観が体感できる内容となっている。 購入特典として斎藤潤一郎による書き下ろし『DKMV』(第六頁)が封入。 瞳の奥から呼び起こされる過去が、空を切り裂いていく。 ― ― ― ― ― ― ― 3月25日配信アルバム第六弾 殉教者のための7つの習作 [DKMV-007] track list 01. 圧死する殉教者 02. 轢死する殉教者 03. 溺死する殉教者 04. 焼死する殉教者 05. 縊死する殉教者 06. 凍死する殉教者 07. 餓死する殉教者
アルバム購入特典として
斎藤潤一郎書き下ろし『DKMV』第六頁を封入。
https://dontkillmyvibe.bandcamp.com/
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